カラーマッチングとは
カラーマッチングは、別名「色合わせ」とも呼ばれます。本番染色前に行われる重要な作業です。
やり方としては、まずは試験的に染める感覚で、5~10gの小さい布片(本番で染める素材と同素材)を切り、この素材を何度か試しに染めてみて、実際の見本の色に合わせます。カラーマッチングを専門的に「ビーカー(試験)」と呼ぶこともあります。
同じ染料を使っても、生地が違えば色も違う
実際の染色では、同一の染料で染まる素材でも生地の種類によって全く染まり方が変わってきます。
下記は2種類(綿ニット・麻)の素材を同一の染料・条件で染色した例です。
生地 | 綿ニット | 麻 |
元生地画像 |
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染色後画像 |
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マンセル値 |
9.36R 4.53/2.07 |
1.64YR 4.18/2.24 |
上記のとおり、染める素材によって染め上がりの色がまったく変わってきます。
「綿ニットでこの色が出たから、麻でもこの色がでる」ということはありません(前処理をしているか、していないかといった点でも、色の仕上がりは変わってきます)。
また、同じ綿ニットでも原料の綿が違うことによって色が変わることもあります。それらを考えず、いきなり本番の生地で大量に染めると、取り返しがつかないことに! ということになりかねません。
こういったことを防ぐため、本番の生地を染める前にあらかじめ本番生地と同一の素材で試しに染めます。それがカラーマッチングを行う理由です。
カラーマッチング(ビーカー)の流れ(例)
- 見本の色に近いデータを探します。
- まずは5gの小さい布を試験的に染めてみます。
- イマイチだったので、試験結果を使って染色データを修正します。
- 修正したデータを使ってもう一度染めます。
- まだ色が合いません! ので、またまたデータを修正します。
- 修正データを使って、2回目の染色にチャレンジ。
- やっと色が合いました! (合わなかったらもう一度やり直しです)
- 念のため、測色機でチェックし、万全の色を作ります。
- OKだったら、いよいよ本番。ビーカーデータを元に素材を染めます。
このように、カラーマッチング(ビーカー)作業は、染色全体の起点となる非常に重要なものです。
上記は染色工場での流れですが「自宅で何枚も(何度も)大きな素材を染める」時にも、同じことが必要です。
ちなみに、何百万円もだせばCCM(コンピューター・カラーマッチング・システム)というものでパソコンが自動的に色を合わせてくれたりしますが、それでも一回で色が合うことは、なかなか少ないです。
染色データの管理
何ヶ月か何年か後に同じ色を染めたい。
染色データを蓄積してカラーマッチングを楽に行いたい。
これらを行うために当社では以下のように染色データを管理しています。
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名刺サイズの厚紙に布の小片を張り付け、裏にデータを記入します(紙はネットで購入した名刺カッターという機械で切ってます)。 |
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台紙は市販の名刺入れを使用しています。 |
こうすると色別や素材ごとに差し替えができて便利です。
弊社では、さらにデータベースソフトを使って、染色データ管理アプリケーションを自作し、以下のように検索・分析・コスト管理ができるようにしています。
染色データを実用的に扱うようにするためには、とにかくコツコツ・几帳面にデータを残すしかありません。
といいつつ、弊社でも染色データを後でまとめて入力しようとして、どれがどのデータかわからなくなって、結局、捨ててしまうということがたまにありますありました。
染色方法の参考ページ
染色について少しだけ詳しく図や画像をまじえてわかりやすく解説しています。それでもわかりにくい点がございましたら、お気軽にご相談ください。
- 1. 染色について
- 染色をちょっと詳しく知りたい方への目次ページです。
- 2. 染色器具について
- 「はかり」・「鍋」など染色に必要な道具について解説しています。
- 3. 染色でつかう単位
- 「浴比」・「%」などについて分かりやすく図解で解説しています。
- 4. 染色の計算方法
- 実例だけでなく簡単に計算できる「染料自動計算フォーム」もあります。
- 5. 染料の計量
- 微量の染料を誤差なく計量する方法について解説しています。
- 6. 染色処方の見方
- 「折れ線グラフ」ぽい染色処方(レサイプ)の見方を解説しています。
- 7. カラーマッチング
- 「色あわせ」とも呼ばれる本番染色前の重要な作業について。
- 8. 混色の理論
- 色をくすます?混色とは?について図でわかりやすく解説しています。
- ex. 繊維について
- 各種繊維・テキスタイル(織物)の分類一覧表を掲載しています。
- ex. 染色用語辞典
- 染料や染色に関する用語の解説です。