特徴 |
「分散染料」自体は水に溶けない染料で、「分散剤」で水に溶かし、ポリエステル・アセテートなどを染めます。 濃色を得るには、高圧をかけられる染色機か「キャリヤー」と呼ばれる膨潤剤が必要です。ご家庭では濃色に染めることは出来ない染料です。
※ 上の表はあくまで一般的な評価です。染料によっては強いものもあります。 |
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染められる素材 | ポリエステル・アセテート・トリアセテート・ナイロン・樹脂 |
分散染料の染色方法(簡易編)
ポリエステル・ネクタイを赤色に染める染色例です。
(1) | 分散染料を溶かして 染液を作ります。 |
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(2) | 密閉できる特殊な容器に入れ、 温度を130℃まで上げて30分間、染めます。 (染めている間は温度を130℃に保ったままです) |
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(3) | 染色後、ソーピング剤で 表面の余分な染料を落とします。 |
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(4) | ソーピング後、水洗い・脱水・乾燥で 真っ赤なネクタイの完成です。 |
分散染料でポリエステルを染める際に使用する機械や助剤
ポリエステルを濃い色に染めるには、高圧をかけられる染色機か「キャリヤー」と呼ばれる膨潤剤が必要です。
液流染色機(布用) | 特殊小型ワッシャー(製品用) | キャリヤー |
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布を機械中の染液の液流に乗せて優しく染める機械です。比較的キレイな仕上がりに染めることが出来ますが、アセテート素材はシワが発生する場合があります。 | 高温高圧をかけることが出来る特殊な染色機械です。洗濯機のように染液の中でかき混ぜながら染めます。製品でも染めることが出来ます。 | 高温高圧で染めることができない場合、キャリヤー(膨潤剤)という助剤を使用します。ただし石油のような臭いがします。 |
分散染料 ポリエステル生地の常圧染め・キャリヤー染め・高温高圧染め 比較
例として「常圧染め・キャリヤー染め・高温高圧染め」それぞれの仕上がりの違いを見てみましょう。
A:常圧染め | B:キャリヤー染め | C:高温高圧染め |
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圧力をかけずに染めています 100℃×30分(常圧) |
圧力をかけず助剤(レベノール TD-881 → 5cc/L)を入れて染めています 100℃×30分(常圧) |
特殊な機械で染めています 130℃×30分(高圧) |
薄い色の仕上がりになってしまいます。 | Aよりは濃く染まりますが、キャリヤー特有の石油臭が生地についてしまいます。 | 密閉で高温高圧がかけられる特殊な染色機械で染めました。もっとも濃くキレイに染まっています。 |
分散染料の染着の仕組み(図解)
A:常圧染め
繊維の表面や浅い所に染料たちが軽く載っているだけ。
B:キャリヤー染め
キャリヤーと呼ばれる膨潤剤が繊維を膨張させ、繊維に隙間を作ります。
C:高温高圧染め
圧力が繊維の小さい隙間に染料を無理やり押し込みます。
以上のように、分散染料の染色方法は「高温高圧」で染色するのが最も適しています。